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文献マトリックスの作り方:文献レビューのための整理表

ZensNote editors · · 8分で読めます

文献マトリックスとは

文献マトリックス(統合マトリックスとも呼ばれます)は、文献を1本ずつ読むのではなく、アイデアごとに比較するための表です。各行が1つの文献、各列が研究のテーマや問い、各セルにはその文献がそのテーマについて述べていることが入ります。文献レビュー、研究論文、卒論や修論の章を書くうえで最も実用的なツールのひとつです。統合という難しい作業を1ページでこなせるからです。

目的は、書き方を変えることです。マトリックスがないと、文献レビューは「文献Aはこれを明らかにした。文献Bはあれを明らかにした」という羅列になりがちです。マトリックスがあれば、列を縦に読むだけでパターンがすぐに見えます。3つの研究は一致し、1つは異なり、ある集団についてはまだ誰も調べていない。そのパターンが、そのまま段落になります。

専用のソフトは要りません。スプレッドシート、文書内の表、大きな紙のどれでもかまいません。大切なのは、よい列を選び、セルに短く具体的なメモを書くことです。

文献マトリックスと注釈付き文献目録の違い

注釈付き文献目録は、文献ごとに整理されます。論文ごとに、何をしたか、何がわかったか、なぜ役立つかを1段落ずつ書きます。最初のステップとしては優れていて、課題として求める授業も多いのですが、それぞれの文献が別々の箱に入ったままになります。

文献マトリックスは、テーマごとに整理されます。同じ情報を分解して、同じ論点についてほかの文献が述べていることの隣に置くのです。だからこそ比較ができます。すでに注釈付き文献目録があるなら、絶好の出発点です。各注釈を読み直し、その中身を適切な列に移していきましょう。

覚えておくと便利な目安があります。注釈付き文献目録は「それぞれの文献は何を言っているか」に答え、文献マトリックスは「文献全体として何を言っているか」に答えます。

文献マトリックスの作り方:ステップごとの手順

小さく始めて、修正する前提で進めましょう。読み進めるうちに列は変わっていきます。それはマトリックスがうまく機能している証拠です。

  • いちばん上にリサーチクエスチョンを書く。すべての列はその答えに役立つものにします。役立たないテーマには列を作りません。
  • 最初の文献を集める。始めは5〜8本で十分です。進めながら行を増やしていきましょう。
  • 基本の列を追加する。著者と発行年、研究の種類や方法、対象者や文脈です。文献どうしの結果が食い違う理由を見つけるのに役立ちます。
  • 文献にざっと目を通し、繰り返し出てくるテーマを書き出す。そのうち3〜6個を最初のテーマ列にします。
  • 読みながらセルを埋める。長い引用ではなく、ページ番号付きで、自分の言葉による短い言い換えを書きます。1つのセルは1〜2文に収めましょう。
  • 文献がそのテーマに触れていなければ、セルは空けておく。空のセルも情報です。記入の少ない列は、研究のギャップを示しているかもしれません。
  • いちばん下に統合の行を追加する。列ごとに、一致点、相違点、ギャップという全体のパターンを1〜2文で書きます。
  • 列を見直す。重なるテーマはまとめ、広すぎるテーマは分け、新しいテーマが出てきたら追加します。

文献マトリックスの例

この例はあくまで説明用です。リサーチクエスチョンと4つの文献はすべて、セルの使い方を示すための架空のものです。リサーチクエスチョン:夜間のスマホ使用は大学生の睡眠にどう影響するか? 列:方法と対象者、睡眠時間への影響、睡眠の質への影響、通知の役割、限界。

以下の4行は、文献ごとに1行で、各列に見出しを付けて書いています。列を縦に読めば、統合はほとんど自然に書けます。睡眠時間については、2つの調査が就寝時刻の遅れを示唆する一方、小規模な睡眠実験の研究では効果は小さめでした。睡眠の質については、3つの文献が同じ方向を示しています。通知を直接調べた文献は1つだけで、これは言及する価値のあるギャップです。そしてどの文献も1か国の学生のサンプルに頼っており、結果をどこまで一般化できるかには限りがあります。

  • 文献A(架空の調査研究、2021年)。方法:大学生600人へのオンライン調査。睡眠時間:夜間の使用が多いほど就寝時刻が遅い。睡眠の質:寝つけない夜が多いという自己申告が多い。通知:調べていない。限界:自己申告のみ、1大学のみ。
  • 文献B(架空の睡眠実験研究、2022年)。方法:学生40人、就寝前にスマホを使う条件と本を読む条件を比較。睡眠時間:寝つくまでの時間にわずかな差。睡眠の質:スマホ条件でやや低い。通知:スマホは消音にしていた。限界:サンプルが小さい、実験室環境。
  • 文献C(架空の日誌研究、2023年)。方法:学生120人の2週間の睡眠日誌。睡眠時間:学業の負担を考慮すると明確な関連なし。睡眠の質:夜遅くにメッセージをやり取りした夜は悪い。通知:夜間の通知が途中で目覚めることと関連。限界:日誌は記入漏れがありうる。
  • 文献D(架空のレビュー、2024年)。方法:先行研究のレビュー。睡眠時間:全体として結果はまちまち。睡眠の質:かなり一貫した負の関連。通知:研究が不足していると指摘。限界:特定の地域以外の研究が少ない。
  • 統合の行。睡眠時間:まちまちで、方法によって異なる。睡眠の質:おおむね負の影響。通知:有望だが研究の少ない分野。限界:全体的にサンプルの幅が狭い。

文献マトリックスのテンプレート

この構成をスプレッドシートにコピーし、下の各項目を1列ずつにします。スプレッドシートでは先頭の行と列を固定して見出しが常に見えるようにし、テキストの折り返しをオンにしてセルを読みやすく保ちましょう。

  • リサーチクエスチョン:[いちばん上に1文で]
  • 列1:文献(著者、発行年、短いタイトル)
  • 列2:方法と対象者(研究の種類、対象、人数、場所)
  • 列3:テーマ1[名前を付ける]
  • 列4:テーマ2[名前を付ける]
  • 列5:テーマ3[名前を付ける]
  • 列6:テーマ4(任意)[名前を付ける]
  • 列7:限界(著者が述べているものと、自分が気づいたもの)
  • 列8:メモと、使えそうな引用のページ番号
  • 最後の行:統合。テーマごとに一致点、相違点、ギャップを1〜2文で

マトリックスから文献レビューを書く

テーマの列が、それぞれ1つの段落やセクションになります。段落は文献からではなく、パターンから書き始めましょう。次に、一致しているか異なっているかで文献をまとめて裏づけ、最後に不明な点や欠けている点で締めくくります。

架空の例を使うと、睡眠の質についての段落は「異なる方法を用いた複数の研究が、夜間のスマホ使用と睡眠の質の負の関連を示している」と書き始められます。続けて調査研究、実験研究、日誌研究をまとめて引用し、レビューでも同じパターンが見られたことに触れ、ほとんどのサンプルが限られた集団から得られていると指摘して締めくくります。文献A、文献B、文献Cと順に説明していく段落と比べてみてください。同じ文献でも、文章の説得力はまったく違います。

方法の違いにも注意しましょう。文献どうしの結果が食い違うとき、その理由はたいてい方法と対象者の列が教えてくれます。調査研究と実験研究では、測っているものが違うかもしれません。それを指摘すれば、ただ文献を集めただけでなく、エビデンスについて考えたことが伝わります。

マトリックスを早く埋めるコツ

いちばん時間がかかるのは、たいてい各文献を行が埋まるほどしっかり読むことです。いくつかの習慣が役立ちます。まず要旨と結論を読み、それから方法に戻る。テーマの列より先に基本の列を埋める。そして読み終えてからではなく読みながら埋められるよう、マトリックスを開いたまま読む。

よくある失敗も避けましょう。長い引用を詰め込んだセルは比較しにくいので、言い換えて書き、引用はメモの列に回します。「テクノロジー」のような単なる話題にすぎないテーマは広すぎて、一致も相違も見えてきません。「睡眠の質への影響」のような列のほうがずっと役立ちます。そして、すべての文献を読み終えるまで書き始めるのを待たないこと。1つの列に3〜4件の記入がそろったら、その統合の文を下書きしましょう。新しい文献が加わったらいつでも直せますし、文献レビューを書くことへの気の重さがずっと軽くなります。

文献が PDF なら、最初の読み込みに ZensNote が役立ちます。プロジェクト用のノートブックに、各論文を「PDFドキュメント」のノートとして追加し、要約で要点をつかみ、そのノートで AIチャットを使って、対象者は誰か、著者はどんな限界を挙げているかといった的を絞った質問をします。ノートブック要約を使えば、追加したすべての論文をひとつの概要にできます。マトリックスに書き込む内容は、必ずページ番号とともに論文そのものと照らし合わせ、セルは自分の言葉で書きましょう。文献どうしをつなげて考えるのは、あくまであなたです。

よくある質問

文献マトリックスは何に使うのですか?

文献レビュー、研究論文、卒論や修論を書くときに、文献をテーマごとに比較するために使います。文献どうしが一致する点、食い違う点、ギャップがある点が見えるので、文献ごとではなくアイデアごとに段落を組み立てられます。

文献マトリックスには何本の文献を入れるべきですか?

決まった数はありません。まずは5〜8本で列を組み立て、読み進めながら行を増やしましょう。授業のレポートなら10本前後、卒論や修論の章ならたいていそれ以上必要です。

文献は行と列のどちらにすべきですか?

どちらでもかまいませんが、文献を行、テーマを列にするのが最も一般的です。ふつうはテーマより文献のほうが多く、スプレッドシートは横より縦にスクロールするほうが楽だからです。

文献マトリックスのテンプレートには何を入れますか?

最低限、文献の列、方法と対象者の列、3〜6個のテーマ列、限界の列、そしていちばん下に統合の行です。ページ番号や使えそうな引用のために、メモの列も加えましょう。

Excel や Google スプレッドシートで文献マトリックスは作れますか?

はい。スプレッドシートはこの用途によく合います。見出しの行と最初の列を固定し、セル内のテキストを折り返し、プロジェクトに複数のリサーチクエスチョンがあるなら、クエスチョンごとにタブを分けましょう。

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